新入生・新社会人の方が入学・入社されてから約3ヶ月がすぎました。みなさまいかがお過ごしでしょうか?
さて、ここで自分への自戒も込めて、内田樹さんのブログにあった面白い記事をご紹介いたします。
[リンク]>>>内田樹の研究室 | 受験生のみなさんへタイトルは受験生 (高校生) 向けですが、内容は新大学生〜新社会人の方も一度は目を通した方がいいと思うようなものです。
要約しますと、「日本のメディアは報道しないけど、アメリカやイギリスの発表では日本の大学レベルはどんどん低下している。中国や韓国は日本が落ちぶれてもお構いなしだから、近隣諸国は誰も指摘してくれない。このままグローバル化が進むとやばい」というなんとも残念なお話です。
日本では大学進学率が53.3% (2017年) で、さらに年々進学率が増加傾向です。2018年のデータでは、進学率57.9%とされています。
[参考] ガベージニュース | 大学進学率をグラフ化してみる(最新) [参考] 大学ジャーナルオンライン編集部 | 2018年度の大学・短大進学率、57.9%で過去最高にこれだけ大学への進学率が高くなっているにも関わらず、内田樹さんが述べていることは「数は増えたけど、レベルは低下している」という残念な結果に他なりません。
日本での大学進学率の上昇は、ホワイトカラー、すなわち良い企業に正社員として入社するために進学する目的の方が多いでしょう。
実際に僕も高校卒業後、よく考えずに大学に進学してしまいました (しかも修士まで出てしまいました)。
日本では給与が良くて待遇の良い大手と呼ばれる企業は、どこも大卒レベルの学生を求めています。良い職業につくため、「大学に行くのが普通」となるものわかります。
しかし、そもそも大学は研究機関であり、就職予備校ではありません。
この辺の大学、学生、企業の考え方の違いが今日のミスマッチを引き起こしている気がします…。
大学教育の終焉
さて、本題へと移ります。
僕は大学時代、教授からよく「年々学生の質が落ちている」と言われていました。
当時の僕は「時代ですかねー」なんて、能天気なことを言ってましたが、このままだと本当に困ったことになりそうです。
自分の周りと比較しても気づけないこと
一般的に大学は入学試験によって、偏差値と呼ばれる能力差で振り分けられます。
そのため大学内には自分と同程度の学力を持つ仲間が集まりやすく、そして自分の能力の判断は、周りとの比較でしか行えないという問題があります。
すなわち、周りよりも相対的に能力が高いと思っていたけど、さらに広い世界と比較したら、自分の能力に何の価値もないと気づくこともあるということです。
一つ例え話を出します。僕は5歳の頃からピアノを習っていました。しかし練習があまり好きではなく、全くうまくなりませんでした。
一方僕の姉はとても練習熱心で、コンクールで賞を取るぐらいピアノがうまかったです。
姉と比較すると、僕のピアノのレベルには雲泥の差がありました。
しかし僕が入学した先は男子校で、ピアノを弾ける人が皆無。そんな環境だと、ピアノをちょっと弾けるだけでも「すげー!」という称賛の言葉が飛んできます。
このとき僕は「自分の能力とは、環境によって価値が変わるものだ」と実感しました。
世界の成長スピードと日本の成長
日本にいると、やはり「日本において周りより優秀かどうか」という軸で判断されます。
しかし内田樹さんの指摘では、グローバル化が (嫌でも) 進行する世界的情勢の中で、日本は今後圧倒的に不利な立場になるだろうと指摘されています。
2017年の3月には英国の自然科学のジャーナルであるNatureが同じく日本の科学研究の劣化についての研究論文を掲げました。かつては世界のトップレベルを誇っていた日本の科学研究が停滞している実情を伝え、日本は遠からず科学研究において世界に発信できるような知見を生み出すことのできない科学後進国になるリスクがあると警告を発しました。
日本の科学力は本当に落ちているのか?
科学大国だった日本の技術力が低下し、日本の大学教育への懸念の声が上がっています。
では実際に日本の科学技術力は低下しているのか? それを裏付けるデータがこちらです。
日本の論文数、注目度の高い論文数の状況
日本の論文数 伸び率の状況
[引用元] 文部科学省 科学技術・学術政策研究所 | 日本の科学研究力の現状と課題 (2017年)日本は概ね現状維持となっていますが、それ以上に他国の増加が大きく、相対的には減少傾向にあります。
「論文は数ではなく、質が大事」という意見もあります。
確かにお金さえ払えば掲載できる科学論文雑誌もあるため、質の確保は大切です。しかし質的指標においても世界の伸び率と比較し、日本の伸び率が低いのが気になります。
今後日本の科学技術がどのようになるかはわかりませんが、いずれ「科学大国、日本!」と言えなくなる日がきてもおかしくはありません。
では今、何を学ぶべきか?
学びたいことを学ぼう
急速に変化する世界の中で、内田樹さんは「この先、ずっと生き延びられると保証のある技能はない」と指摘されています。
これから出てくる新しい技術・技能は予想がつかないため、いつ代替されるか誰も予測できないからです。
そんな中で内田樹さんがオススメしているのは、「学びたいことを学ぶ。身につけたい技術を身につける」ことです。
損得感情ではなく、自分がやっていて楽しいことを探す。
自分が楽しいと思うことでないと、モチベーションはわかず、学習スピードは遅くなってしまいます。
そしてたとえ自分が学んだことが将来的に陳腐化しても、学びのプロセス自体はしっかりと身につくので、新しい知識を仕入れるのに有利になります。
まとめ
残念ながら日本にいるうちには気づけませんが、アメリカやイギリスのデータ上は、日本の大学教育は徐々に終焉を迎えそうです。
グローバル化の中で生き残るには、「これさえ身につければ大丈夫!」という能力がありません。
そのため僕ら若手世代は、今学びたいことを学ぶという姿勢が大切になりそうです。
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