9月16日から18日まで東京、デザイン・フェスタ・ギャラリーで開催していた切り絵個展「MONO」。多くの方にご来場頂きまして、無事大盛況のもと会期終了を迎えました。
デザイン・フェスタ・ギャラリー原宿様で記事にして頂きました。
[リンク]>>>黒沼弥生『MONO』2017.9.16 – 18少し今更感がありますが、当時のことを思い出しながら展示会のコンセプトについてつらつらと述べていきたいと思います。
展示会で一番大切にしたいこと
私が自分で企画する展示会に共通して一番大切にしたいこと。それは「鑑賞者のプラスになる」ことです。
かん‐しょう〔‐シヤウ〕【鑑賞】の意味
[名](スル)芸術作品などを見たり聞いたり読んだりして、それが表現しようとするところをつかみとり、そのよさを味わうこと。「名曲を鑑賞する」「鑑賞力」
[引用] goo辞書 | かん‐しょう〔‐シヤウ〕【鑑賞】の意味
私のいう鑑賞者とは作品を味わってくれる方…私の展示を観るため、わざわざ時間とお金をかけて見に来てくださった方。そういった方々のプラスになる展示会を作ることが企画する上で大事にしています。
プラスとは、例えば「楽しい・嬉しい・美しい・驚き」などの体験の提供。展示会をやる上で、どうしても「作品を観られて良かった!」というプラスになる経験を提供したかった。
今回の展示会ではプラスの体験を提供できるよう、後述しますが、いくつか仕掛けを考えていました。
展示会のコンセプト
さて、展示会のタイトル自体は、電車移動中にパッと浮かんだものをそのまま採用。カラー切り絵よりも白黒切り絵を作ることが多いので、モノクロ (単色) 切り絵だけの展示会にしようと考えました。
タイトルもシンプルでひねりの無い「MONO」へ。意味はモノクローム (単色) からきています。
こういったふとした思いつきで突っ走ることはよくあります。結果としては楽しくできたので、良かったと思います。
切り絵を手に持って撮影できる!
今回の展示会で一番のポイントであり、先に述べた「鑑賞者のプラスになる展示会」を実践するためのキーです。実現するまでに、他の会場で試験導入なども実施。比較的楽に導入できそうだったので、今回の展示会で実現させました。
私よりも切り絵が上手い人、個性的な作品を作れる人は世の中にたくさんいるので、私の場合はアイデア勝負で差別化しようと考えています。そこで大きな差別化要素として加えたいと思ったのが「弥生の切り絵を手で持って、記念撮影ができるブースを作る」というもの。
このアイデアを採用するに至ったポイントは2点。
- 他人の切り絵を持つ、滅多にできない体験の提供
- 展示会場に来なければできない体験の提供
それぞれ詳しくお話いたします。
1. 他人の切り絵を持つ、滅多にできない体験の提供
「鑑賞者のプラスになる展示会」に直結するアイデアになると思いました。
私も他の切り絵作家さんの展示会を観るのが好きなので、ちょくちょくお邪魔しています。その中で「切り絵体験」というイベントはあっても「人の作った切り絵を直に持つ」というイベントってなかなか存在しない。そこで挑戦してみようと思いました。
本人が自分で体験できるって、何よりの価値を生み出してくれるのでは? という予想でしたが、うまく当たった気がします (自画自賛)。
最近では「インスタ映え」という言葉もあるぐらい、自分の体験を他の人と共有できる形で提供するアイデアはこれからもっと重要になっていくと予想しています。そして何より考えるのが楽しい。
弥生さんの個展、「MONO」にお邪魔してきました!
展示や作品に関するあれこれだったりお話ししていただきまして、とっても楽しかったです(´∀`*)
切り絵持たせてもらった!!!!やばい!(やばい)
9/18までデザインフェスタギャラリーで展示されているので行ったほうがいいです! pic.twitter.com/uZwCzMEngr— かげみ@切り絵 (@kagemeenokirie) September 16, 2017
弥生さんの個展では、作品を持たせていただいた。
建築を切り絵で表現するおもしろさというか、構図や切り抜くところ残すところの絶妙さというか、惹きつけられる作品ばかりでとてもいい空間でした
そして弥生さんとってもいい人☻ pic.twitter.com/OkAZ1FLJVm— ソ ラ (@___tomp___) September 16, 2017
まずは弥生さん( @yayoi_zzz )の個展へ。
切り絵の繊細さはもちろんのこと、元になっている写真のキャプションが興味深かったです。
切り絵を手にのせてもらったのですが、緊張して震えが止まらず… pic.twitter.com/2GsrVAovgG— 佳帆◆切り絵 (@kaho_a4) September 18, 2017
(他多数の方がツイートしてくださいましたが、1部のみ掲載させて頂いております。)
2. 展示会場に来なければできない体験の提供
私自身がどうしても「展示会場に来てくれた人限定!」というイベントを行いたかったから。
展示会に足を運ぶって、すごくエネルギーのいることです。
交通費もかかるし、行って帰るまでの時間もかかる。
ネットがあれば画面を通して絵が好きなだけ見られる時代。その中でお金と労力をかけて来てくださった人に、少しでもプラスになるものを還元したい…そういった「鑑賞者のプラスになる展示会」をコンセプトにしている以上、体験の提供は欠かせないイベントでした。
ささやかではありましたが、少しでも足を運んでくださった方のプラスになっていれば幸いです。
解説キャプションの作成
アートはフィーリング、その場の雰囲気で感じるもの…確かにそういった意見もあるでしょう。
しかし私の展示会「MONO」では、作家と鑑賞者のフィーリングだけに頼らず、より多くの人に楽しんで頂けるよう作品1つ1つに詳しい解説を載せました。
例えばこちら。
切り絵に使用した写真 (撮影: 黒沼弥生) を撮影した時の
- ポイント
- 構図について
- 建物を見て感じたこと
- 建物自体の解説
…A5サイズのボードに詳しい説明を載せました。
美術館などで解説を読みながらじっくり絵を楽しむ…あの雰囲気が好きで、私の個展でもそれを実践できるようにしてみました。
「作品も素敵ですが、解説が面白かったです」
こういったご意見をたくさん頂きまして、非常に嬉しかったです。
作品を観る際のヒント、ポイントなどを解説に書いておくと、鑑賞者の方も「解説に書かれている部分はここかな?」といった作品の中で作家の意図を探す楽しみも見出して頂けたようです。引き続き、私の展示会では作品の制作意図、解説を続けていく予定です。
まだまだ書きたいことはあるのですが、長くなってしまったので次回「反省編」に続きます。
つづく!
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