目次
フォントの選び方
「フォントってどのように選べば良いですか?」ですが、答えは見た目で選んでOK。
世界観とフォントに一貫性をもたせたい場合は、
- フォントは見た目で選ぶ
- 世界観の情報 (時代、国など) を活用する
- 映画や漫画を参考資料に使う
という3つのポイントを押さえておくと、フォントが選びやすくなります。
「フォントには使用ルールがある」は呪縛
自分のロゴを作成するまでフォントのルールを全く知らず、こちらの本を読みました。
著者の小林章さん (こばやし あきら) は書体デザイナーでフォントの達人。デザインやアートを勉強してなくても、とてもわかりやすく、楽しくフォントが学べます。
知識がなくても、フォントは雰囲気で選んで良い
これが一番重要です。自由にフォントを楽しむ大切さが述べられています。
まるで、フォントの選び方に厳密なルールや一般常識があって、それは本に書いてあって丸暗記するもの、みたいに聞こえます。そんなのぜんぜん違う。
[引用]>>>小林章 (2011), 『フォントのふしぎ』
作品の雰囲気とフォントを一致させる
実際に世界観を設計するため、フォントを使っていきます。
1. 自分の作品を分析する
僕はイギリスの「Big Ben」や「グロスター大聖堂」など、ゴシック建築をテーマとした切り絵をしています。
時代背景
ゴシック建築は12-15世紀、または18世紀後半〜19世紀前半のヴィクトリア朝がメインとなります。
- その時代にはどんなフォントが使われていたか?
- どんなフォントを使うと「それっぽい」を醸し出せるか?
を考えていきます。
壁に刻まれたフォント
建物の立て札や壁に刻まれたフォントは貴重な資料なので、旅先では写真に納めるようにしています。
こういった現地で使われているフォントの形や雰囲気を参考にしました。
2. お手本を見つける
現地まで行けない人でも助けになる資料、それは映画や漫画です。
フォントを決めるため、僕はゴシック建築が出てくる映画や漫画を参考にしました。
映画監督や漫画家などプロがどのように世界観を設計しているか? という視点で観察し、ノートにメモしていきます。
今回参考にした映画は、「ゴシック イギリス 暗め」という3つのポイントで選抜 (ゴシック自体に「退廃的」という負の要素があるため)。
ゴシック・ホラーの巨匠 ティム・バートン監督作『スリーピー・ホロウ』。舞台は19世紀のイギリス。フォントだけでなく、ゴシックホラーを演出するエフェクト (効果) も参考になります。
同じくティム・バートン監督作『コープス ブライド』。結婚式場がゴシック建築になっています。くるくる丸いフォントが可愛い。
『シャーロック ホームズ』は18、19世紀のイギリスを代表するヒーロー。
劇中でタイプライターを使用しており、「タイプライターフォントも使えそう!」という気づきになった作品。
3. 印刷して、作風との乖離をチェック
以上の参考資料をもとに、作風に合いそうなフォントをピックアップします。
これを印刷し、実際に作品と並べて最も相性が良いものを選びます。
印刷は面倒ですが、画面上と紙面上ではフォントの印象が変わることがあります。実際に紙面に起こしても問題ないかチェックしていきます。
最終的に、使用フォントは下記の4種類になりました。
凸版文久明朝 (メインフォント)
読みやすく、活版印刷の雰囲気が時代背景、作風にマッチ。
Snell Roundhand (筆記体フォント)
インクが乗った羽ペンを走らせたようななめらかな書体。一流ブランドにも採用されています。
Courier (タイプライター調フォント)
タイプライター時代とマッチ。ゴシックフォントを使いたいときに。
Broken Planewing (ゴシックフォント)
ザ・ゴシックという感じのフォント。フリー素材フォントで、YとKの形に惹かれて。
4. 【中級】微調整する
先日の記事でも書きましたが、錯視 (目の錯覚) で”Y”と”A”の間に開きがあるように感じます。
間を詰めることで違和感を消し、フォントをまとめます。
[関連記事]>>>【ロゴの作り方】黒沼弥生のロゴに隠された4つの秘密まとめ
いろいろ書いてしまいましたが、僕がフォント選びでお伝えしたかったことは3つ。
- フォントは見た目で選ぶ
- 世界観の情報 (時代、国など) を活用する
- 映画や漫画を参考資料に使う
あまり難しく考えず、フォントを使うことを楽しみましょう!
こちらの書籍では、初心者でも楽しくフォントの勉強ができます。
- ルイ・ヴィトンに使われているフォントは?
- Helveticaフォント (意味: スイスの) はスイスに関わるものにしか使っちゃダメ?
など。興味があれば、読んでみると面白いですよ。
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