モノ消費とコト消費
日本の経済が成熟してから、モノが売れない時代に入りました。
日本のように成熟した国家では、普段使いのモノは100円ショップでも安く購入できてしまいます。
そのため「モノ (物) ではなく、コト (体験) を売れ」というのが、物を販売する業界では常識となっています。
では “コト”、すなわち感動 (体験) はどのように作ればいいのでしょうか?
ポイントは5感とストーリーにあります。
感動とは何か?
感動とは何でしょう? これは読んで字のごとく「感情 (心) が動く」ことです。
…では、感情はどのようにすれば動くのでしょうか?
感情が喚起されるポイントは、人間の5感にあります。すなわち
- 視覚
- 聴覚
- 味覚
- 嗅覚
- 触覚
これら5つの感覚器官が刺激される反応として、感情は生まれます。
5感の中で、人は情報認知について、その9割以上を視覚に頼っています。そのため、感動要素の多くは視覚依存となっています。
しかし、同時に聴覚、味覚、触覚、味覚に良い刺激を与えると、感動体験をより強力にサポートできます。
残念ながら、切り絵をはじめとするアート作品の多くは、感動体験の100%が視覚依存です。
そこで僕は考えました。
なんとか視覚依存を脱却し、感動に付加価値を与えられないだろうか?
その結果が音楽を活用したプロモーションムービーや、
個展での切り絵に触れるという体験会の実施につながります。
[関連記事]>>>【個展】モノクロ切り絵展「MONO」で一番大切にしたかったことストーリー
5感の刺激に加えて大切なのが「ストーリー性」です。
- それ (モノ) を購入したら、どんな体験ができるだろう?
- 日常がどのように鮮やかに、便利に、楽しくなるだろう?
ストーリー性とは、こういったお客さんのイメージを膨らませるための強力なツールになります。
Apple社の音楽プレーヤー、iPodが登場とともに爆発的にヒットしました。その要因の一つとして、Apple社のプロモーション戦略が挙げられます。
Apple社が打ち出した強力なキャッチコピー。それは、
「iPod。1000曲をポケットに。」
Apple / スティーブ・ジョブズ
この短い文には、「音楽を好きなだけ持ち運べる日常」という体験を、強くイメージさせる効果がありました。
感情を喚起させるストーリー構成が、コト消費では非常に重要になります。
バルミューダに学ぶ、5感とストーリー
最近「日本のスティーブ・ジョブズ」と名高い日本の家電メーカーがあります。バルミューダ社です。
オーブントースターが1台1000円で買える時代、1台23,000円という異例の価格設定で大ヒットさせたメーカーです。
バルミューダ社は、ウェブサイト通じて「家電を通じての日常体験」を強くアピールしています。
BALMUDA The Toasterで焼いたトーストは、表面がサックリとしたきつね色、中は水分と香りが十分に残ったまま熱々の仕上がり。鮮烈で、香ばしい小麦の匂いが印象的です。新鮮なバターや季節のジャム、ハチミツをたっぷりとかけてお召し上がりください。
[引用] BALMUDA
- 表面がサックリ → 聴覚
- きつね色 → 視覚
- 熱々 → 触覚
- 香ばしい → 嗅覚
- 新鮮なバター → 味覚
と、この2文の中に5感をフル刺激する表現を織り交ぜ、消費者の感情に揺さぶりをかけています。
さらに、
- トースターの開発秘話として20年の歳月がかかったこと
- 雨の中のバーベキューでパンが美味しく焼けることに気づいた
など、トースターが生まれるまでのストーリーでイメージを喚起しています。
まとめ
感動を作るには2つのポイントがあります。
- 5感の刺激
- ストーリー
この2点をどう作るか? という点が重要です。
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