【展示会】国際郵便を使った海外出展作品の輸送費用と注意点




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2017年10月24日〜28日にかけて、イギリスロンドンで開催された国際アートコンペティション「EWAAC 2017」で切り絵作品を展示しました。

海外への作品の輸送は初だったため不安もありましたが、無事作品を送り届けることができました。ただし、税関で付加価値税 (VAT) を徴収されたため輸送に時間がかかったため、海外展示で作品を輸送するのにかかる時間、費用、注意点についてメモを残しておきます。

作品の輸送は郵便局のEMSを利用

今回は運営の方より「国際スピード郵便 (EMS) を使用して下さい」との連絡を頂いたため、作品の輸送にEMSを使用。

国際スピード郵便 (EMS) とは?

ems [引用] 国際郵便

こちらは今回利用した郵便局のサービスです。画像は郵便局ウェブサイトより切り出して使用しております。

国際郵便サービスの中で最も早く輸送してくれるサービスです。詳しくはリンク先の説明をご参照頂きたく思いますが、荷物を送るのに必要な情報は

  • 送り主の住所・電話番号
  • 相手先の住所・電話番号
  • 荷物の内容
  • 署名
  • 荷物の値段 (円)

これだけですので、国内で郵送するのと同じぐらい簡単でした。

値段は?

送り先の国、荷物の大きさ、重量によって値段は変動します (当たり前ですが)。今回の私の切り絵作品の場合ですと、額縁の重量含め3.5 kg、サイズはA2強、送り先はイギリスで税込7400円でした

サービス内容は?

国内の荷物同様、集荷サービスがあります。また伝票にお問い合わせ番号が記載されているため、「EMS配達状況のご確認」から現在の荷物の位置が確認できます。

参考のため、実際に私がイギリスに送った荷物の配送データを記載します。

ems

荷物が届くのにかかる時間は?

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上の「配送状況詳細」を見ていただければ、荷物の動きがわかります。

9月30日に日本を発送し、10月3日にはイギリスの国際交換局に到着しています。そこから通関手続き、国際交換局からの発送で、10月11日には到着です。ただし、今回私の作品は付加価値税 (VAT) が課せられたため、実際の荷物の受け渡しまでは約3週間ほどかかりました

付加価値税に関しては後ほど記載します。

付加価値税 (VAT) とは?

日本の消費税との大きな違いは、税率が対象となる物品・サービスによって異なることが多いという点です。高級品には高い税率、食品には低い税率という具合に、文字通り「付加価値」の加減によって税率が決められています。VATの税率は各国ごとによって異なり、たとえ同じEU加盟国であっても適用するVAT率に違いがあります。VATの税率を調べるには、対象国のVATの標準税率と、対象品目の税率の両方をチェックする必要があります。

[引用] digi-joho JAPAN | 付加価値税VAT (Value Added Tax)とは

今回私が送った切り絵作品は残念ながら課税対象となりました。送り先、または内容によって課税される場合と、されない場合があるそうです。調べてみると、結構税関職員のさじ加減で決まる? ような話も見受けられます。

日本に家族がいて、海外に住んでると荷物を送るのにVATが結構深刻な負担になるようです。次の体験談は非常に参考になりました。

まだEMSで消耗してるの?海外在住組に捧げる郵便ブルー解消法その1

このVATですが、「EMSの通関に関して」というページにも書いてありますが受取人が負担する制度です。送り主でないところがポイント。

ただし、今回は私が参加した展示会の出展規約は「送料は展示者側が負担」となっていたため、受取手にカード払いでVAT相当額を支払ったのち、受け取ってもらいました (実質、弥生負担ということ)。

で、額は50ポンド。日本円にして7576円送料より高いぞ、おい。

節税するためには?

税関職員のさじ加減ということで運の要素もありますが、一応節税対策があります。

それは日本から輸送する際に

  1. 日本円換算合計 (価値申告) を30ポンド以下 (日本円で約4200円) と記載
  2. 内容品は贈物 (a gift) ではなくその他 (others) を選択

以上2点です。1は自分の作品ですので値段は自分でつけて問題なく、展示作品なので贈物には該当しません。よって虚偽報告ではありません。

節税のデメリット

ただし、こちらの方法はデメリットがあります。それは万が一紛失・破損した際に、価値申告した額しか補償されないということ。当たり前といえば当たり前ですが、4200円と書いたら自分の作品が紛失しても、壊れても4200円しか戻ってきません。

作品が大切で、高額補償して欲しい気持ちはすごくわかります。ただしEMSで送る際、追加料金なしで補償される限度額は20000円 (※ 2017年現在)。200万円の補償を受けるためには追加料金4950円必要 (※ 2017年現在) で、さらに送り先で超高額のVAT徴収を覚悟しなければいけません。これ結構ポイントです。

なので、自分の作品が壊れた or 無くされたときにどこまで補償して欲しいか、またVATでいくらまで徴収されてもいいかという価格を自分で決める必要があります。

作品に保険はかけられるの?

上に記載したように、最大200万円までの補償を受けられます (追加料金4950円)。ただし超高額の付加価値税 (VAT) を覚悟してください

VAT免除の条件

Twitterで教えて頂きましたが、作品の展示会のため、一時輸入という名目でVATが免除されます。

一時輸入に関する税の減免措置

EU域内での展示会やオークションへの出品、あるいは商品サンプル・職業用具としての一時的な使用を目的に輸入する場合、一定の条件のもと関税・輸入VATなどが減免される。この一時措置(Temporary Admission:TA)の適用を受けるためには、輸入時に歳入関税庁(HMRC)による認可が必要となる。
また、輸入した製品を一定期間内(品目により異なるが通常最長2年)に再輸出することが義務付けられているほか、一時輸入期間中は、当該製品に対し輸入時の状態を保持するために必要とされる所定のメンテナンスを除いて、加工や修理を施すことが禁じられるなどの制約がある。
多くの場合、輸入時の関税額相当の保証金が求められるが、製品が再輸出される際に返却される。

英国政府:
一時措置(TA)の概要 “Temporary admission外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一時措置の詳細(関税通達3001)”Notice 3001: customs special procedures for the Union Customs Code外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

[引用] 日本貿易振興機構 (JETRO) | 関税制度

ウェブサイトより該当箇所を使用させて頂いております。

ただし、よく読むと「一時措置の適用を受けるためには、輸入時に歳入関税庁による認可が必要となる」とあります。さすがに今回は事前に認可受けていなかったため、この方法は使えません…残念。

もし一時措置を受けたい方は、下のATAカルネについて知っておくと良いと思います。

カルネ | 物品の一時輸入のための通関手帳

EMS以外の輸送方法

今回はEMSを指定されたため、他の方法に関しては調べませんでしたが、次のような方法もあります (郵便局のサービスで比較)。

  • 航空便 (高い、早い)
  • エコノミー航空便 (航空便と船便の間)
  • 船便 (安い、遅い)
[参考] 郵便局 | 国際郵便 発送方法の比較

海外へ荷物を送るときは、余裕を持って!

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結論です。税関手続きで課税対象となると、手間取ります。 場合によっては2、3週間ぐらいかかるそうです。

海外への輸送は早め早めに行いましょう (教訓)

 

では、そんな感じで!



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